Google Workspace に AI 画像生成「Nano Banana Pro」が導入。Slides、Vids、Gemini、NotebookLM で利用可能に
Google Workspaceに「Nano Banana Pro(Gemini 3 Pro Image)」というAI画像生成モデルが導入されました。Google Slides、Vids、Geminiアプリ、NotebookLMで高品質な画像やインフォグラフィックを生成できます。
要約
Google Workspace に「Nano Banana Pro(Gemini 3 Pro Image)」という AI 画像生成モデルが導入されました。Google Slides、Vids、Gemini アプリ、NotebookLM で利用可能になり、プロンプトから高品質な画像やインフォグラフィックを生成できます。Google Search と連携しているため、実在の物体や場所をリアルに表現できるのが特徴です。ただし、18 歳以上限定で、プロモーション期間終了後は利用制限がかかる可能性があります。
Nano Banana Pro とは
Nano Banana Pro は、Gemini 3 Pro Image という正式名称を持つ、Google の最新 AI 画像生成・編集モデルです。
特徴は、Google Search の膨大な知識ベースと連携していること。 実在の物体や場所を詳細かつリアルに表現できるようになっています。
プロンプトに書いた内容を踏まえて、細かいディテールまで反映した画像を生成してくれます。
どこで使えるのか
4 つの Google Workspace サービスで利用できます。
Google Slides
「Help me visualize」機能が Nano Banana Pro を使うようになりました。 3 つの機能が提供されています。
1. Infographic(インフォグラフィック)
プロンプトから、プロフェッショナルなインフォグラフィックを直接生成できます。 Google Search と連携しているので、実在の物体や場所を正確に表現してくれます。
例えば「東京の観光スポットを紹介するインフォグラフィック」と入力すれば、実際の東京の名所を反映した画像が生成されます。
2. Images(画像生成)
従来からあった画像生成機能が、Nano Banana Pro を使うようになりました。 より高品質で、リアルな画像を生成できます。
スライド資料に挿入する画像を、簡単に作成できます。
3. Beautify this slide(スライドの美化)
これは新機能です。 既存のスライドの内容をもとに、ワンクリックでビジュアルを生成してくれます。
テキストが読みやすく、デッキ全体のデザインに合わせた見た目になります。 気に入ったら「新しいスライドとして挿入」で、個別のスライドとして追加できます。
テキストだけのスライドを、視覚的に分かりやすいスライドに変換したいときに便利そうです。
NotebookLM
NotebookLM でも Nano Banana Pro が使えるようになりました。
インフォグラフィック生成
アップロードしたソース(文書など)から、重要な情報を抽出してインフォグラフィックを作成できます。 複雑な情報や関係性を、1 枚の分かりやすいビジュアルにまとめられます。
スライドデッキ作成
ソースから完全なスライドデッキを作成し、PDF でエクスポートできます。 資料作成の時間を大幅に短縮できそうです。
Google Vids
Vids では、より精密な画像生成と編集ができるようになりました。
マルチターン プロンプト
新しく追加された機能です。 繰り返しプロンプトを入力することで、画像を段階的に調整できます。
1 回目のプロンプトで大まかな画像を生成し、2 回目以降で細かい調整を加える、という使い方ができます。 本格的な動画制作に使える画像を作成できます。
Gemini アプリ
Gemini アプリでも、高品質な画像を生成できます。
使い方は、モデルドロップダウンから「Create images」と「Thinking」を選択するだけ。 クリエイティブなアイデアをビジュアル化したいときに便利です。
注意すべき制限事項
便利な機能ですが、いくつか制限があります。
18 歳以上限定
画像生成・編集機能は、18 歳以上のユーザーのみ利用できます。 AI 生成コンテンツのポリシーによるものと思われます。
チームで使う場合、若いメンバーが含まれていると全員が使えるわけではないので注意が必要です。
プロモーション期間の終了
最初の少なくとも 60 日間は、高い利用上限でプロモーション提供されます。 つまり、実験的に色々試せる期間ということです。
その後は、ユーザーごとの利用制限が適用される予定です。 具体的な制限内容は、変更前に別途アナウンスされるとのこと。
プロモーション期間が終わったあと、どれくらい使えるのかは現時点では不明です。 業務で頻繁に使う予定がある場合は、今のうちに試しておいて、実際の使用頻度を把握しておくといいかもしれません。
利用可能なプラン
利用できるプランは、サービスごとに少し異なります。
Slides、Vids、Gemini アプリ、NotebookLM 全てで利用可能
- Google Workspace Business Standard / Plus
- Google Workspace Enterprise Standard / Plus
- Google AI Pro / Ultra
- Google AI Ultra for Business
- Google AI Pro for Education
Gemini アプリと NotebookLM のみ利用可能
- Essentials Starter、Enterprise Essentials / Plus
- Business Starter
- Enterprise Starter
- Nonprofits
- Education Fundamentals / Standard / Plus
- Frontline Starter / Standard / Plus
Vids のみ利用可能(期間限定)
一部のプランは、2026 年 5 月 31 日までの期間限定で Vids の生成 AI 機能を利用できます。
- Essentials Starter、Enterprise Essentials / Plus
- Business Starter
- Enterprise Starter
- Nonprofits
- Education Plus および Teaching and Learning アドオン
自分のプランで何が使えるのか、事前に確認しておくといいですね。
開発者向けアクセス
開発者やビジネスチームは、Vertex AI 経由で Nano Banana Pro にアクセスできます。 Gemini Enterprise でも近日中に利用可能になる予定です。
API 経由で使えるようになれば、独自のアプリケーションに組み込むこともできそうです。
管理者の設定
この機能には、管理者による設定やオンオフの切り替えはありません。
対象プランを契約していれば、すべてのユーザーに自動的に適用されます。 すでに利用可能になっています。
ロールアウトスケジュール
2025 年 11 月 20 日から、段階的にロールアウトが開始されました。 完全に利用可能になるまで、最大 15 日かかります。
Rapid Release ドメインと Scheduled Release ドメインの両方が対象です。
まだ表示されない場合は、数日待ってから再度確認してみてください。
実際に使ってみての印象
AI 画像生成ツールは色々ありますが、Google Workspace に統合されているのは便利です。
特に Slides での「Beautify this slide」機能は面白そうです。 テキストだけのスライドを視覚的に改善できるなら、プレゼン資料作成の時短になりそうです。
ただ、プロモーション期間終了後の利用制限が気になります。 頻繁に使う業務フローを構築してから、急に制限がかかると困るので、今のうちに使用頻度の感覚を掴んでおくのがいいかもしれません。
NotebookLM でインフォグラフィックやスライドデッキを作成できるのも魅力的です。 資料作成の初期段階を AI に任せて、人間は仕上げに集中する、という使い方ができそうです。
18 歳以上限定というのは、チーム全体で使う場合は注意が必要です。 若いインターン生などがいる場合、その人だけ使えないという状況が発生します。
どう活用するか
いくつか活用シーンを考えてみました。
プレゼン資料の作成
Slides でインフォグラフィックや画像を生成し、視覚的に分かりやすい資料を作成。 「Beautify this slide」で既存のテキストスライドを美化。
レポートのビジュアル化
NotebookLM で文書から重要な情報を抽出し、インフォグラフィックとして可視化。 複雑なデータを一目で理解できる形にまとめる。
動画コンテンツの素材作成
Vids でマルチターン プロンプトを使い、動画用のカスタム画像を段階的に調整。 本格的な動画制作に使える素材を作成。
アイデアの視覚化
Gemini アプリでクリエイティブなアイデアをビジュアル化。 企画の初期段階でイメージを共有する際に便利。
他のツールとの比較
AI 画像生成ツールは、Midjourney、DALL-E 3、Stable Diffusion など色々あります。
Nano Banana Pro の強みは、Google Workspace への統合です。 別のツールで画像を生成してからアップロードする、という手間が省けます。
Google Search との連携も特徴的です。 実在の場所や物体をリアルに表現できるのは、ビジネス資料作成では役立ちそうです。
一方で、プロモーション期間後の利用制限が不透明なのは気になります。 他のツールと併用しながら、使い分けを考えるのがいいかもしれません。
まとめ
Nano Banana Pro の導入で、Google Workspace での AI 画像生成が一気に便利になりました。
Slides、Vids、Gemini アプリ、NotebookLM と、複数のサービスで使えるのは魅力的です。 特に Slides の「Beautify this slide」や NotebookLM のインフォグラフィック生成は、資料作成の時短に繋がりそうです。
ただし、18 歳以上限定、プロモーション期間後の制限、という注意点もあります。 今のうちに試しておいて、実際の使用感や頻度を確認しておくといいですね。