Gemini Notebookの監査ログが管理コンソールに登場
Gemini Notebookの操作を追跡する監査ログがGoogle管理コンソールに追加されました。確認できる項目、2種類の調査ツール、BigQueryへのエクスポート、対象プラン、データ保存地域の注意点を解説します。
社内で使うGemini Notebookに、誰が資料を追加し、共有範囲を変えたのか。利用者への聞き取りだけでは追いにくかった操作を、管理コンソールの監査ログで調べられます。
Googleは2026年9月3日、Gemini Notebook専用の監査ログを発表しました。管理者は利用者や対象リソースを絞って操作を検索し、結果を書き出せます。
Gemini Notebookは旧NotebookLMの新名称です。名称変更の背景は2026年7月17日の週次まとめに掲載しています。
Gemini Notebookの監査ログで何が分かる?
Gemini Notebookの監査ログは、組織内の利用者がノートブック、ソース、生成物、共有設定に対して行った操作を管理者が追跡するための記録です。
中心となるのは操作やアクセスの監査です。チャット履歴本文やNotebookの全回答内容を常に読める機能としては案内されていません。利用を許可・禁止する設定や、問題を自動修復する機能とも区別して扱います。
2種類の調査ツールはどう違う?
管理コンソールには、ログを検索するAudit and investigation toolと、条件検索や調査の保存などを行うSecurity investigation toolがあります。入口と必要な権限が異なります。
| ツール | 管理コンソールの入口 | 必要な管理者権限 |
|---|---|---|
| Audit and investigation tool | Reporting > Audit and investigation > Gemini Notebook log events |
Audit & Investigation |
| Security investigation tool | Security > Security center > Investigation tool でデータソースに Gemini Notebook log events を選択 |
Security center と対応エディション |
後者では調査の保存に加え、条件に応じたルールやアラートの作成も扱えます。契約によって使える機能が変わるため、両ツールを同じ画面・同じ利用要件として考えないことが必要です。
どの属性で検索できる?
Gemini Notebook log eventsの公式ヘルプには、次の代表的な属性が載っています。必要な列を検索結果へ追加すると、確認したい情報を並べられます。
| 属性 | 確認する内容 |
|---|---|
| 操作者・日時・イベント | 操作した利用者、発生日時、記録された操作 |
| IPアドレス | 操作に関連する接続元 |
| リソース | 操作の対象になったリソースの情報 |
| 変更前後の公開範囲 | 共有状態がどう変わったか |
| ソースID・名前・種類・URL | Notebookで参照する資料の識別情報 |
| Studio生成物ID・名前・種類 | Notebook内で作られた生成物の識別情報 |
| AIプラン階層 | 利用者のAIサブスクリプション階層 |
すべての属性がすべてのイベントに記録されるわけではなく、公式の属性一覧も変更されうる点に注意してください。一覧は網羅的なものでもありません。生成物の識別情報があることと、その本文を監査ログから読めることは別です。
管理コンソールではどう確認する?
まず、利用可能な調査ツールで Gemini Notebook log events を開きます。以下は公式ヘルプに沿った手順で、画面名は英語表記です。
- Audit and investigation toolでは前掲のReporting配下の画面を開き、日付範囲を指定します。
Add a filterで操作者などの属性を選び、演算子と値を設定します。Searchを実行し、対象リソースや公開範囲を確認します。- Security investigation toolを使う場合は、データソース選択後に
Add Conditionで属性・演算子・値を指定して検索します。
操作を調べる順番は、期間、利用者、対象資料の順に絞ると追いやすくなります。たとえば「昨日、ある社員が扱ったノートブック」を先に探し、その操作の前後で公開範囲が変わっていないかを確認する流れです。
検索結果を書き出せる?
検索結果はGoogle SheetsまたはCSVへ書き出せます。公式ヘルプの上限は通常100,000行です。対応エディションでSecurity investigation toolを利用できる場合は30,000,000行となります。
検索結果上部の Export all から名前を付けて書き出し、出力結果を開きます。大量の記録を扱う場合は、後述の対象プランと自分の管理者権限を先に確認してください。
BigQueryへのエクスポートは設定が必要?
BigQuery Exportは既定で無効です。管理コンソール内の監査ログは既定で利用可能になる一方、BigQueryへ送るには管理者による別途設定が必要と、公式発表は区別しています。
Gemini NotebookログのBigQueryスキーマも公開されています。ソース、変更前後の公開範囲、生成物の専用フィールドがあり、継続的な集計に利用するデータ構造を確認できます。
設定の入口は管理コンソールの Reporting > Data integrations にあるBigQuery Exportです。設定ヘルプに沿って有効化します。BigQuery側のプロジェクト、管理者とサービスアカウントの権限、課金の有効化が前提となり、ログの書き出しには費用も発生します。
対象プランとロールアウトは?
公式発表の対象表現は「Security investigation toolとAudit and investigation toolへアクセスできるGoogle Workspace顧客」です。実際の利用範囲は、契約エディションと管理者権限で変わります。
公式ヘルプは、ログの検索対象となる利用者についてはGoogle Workspaceエディションを問わず検索できると案内しています。これは、全エディションの管理者にSecurity investigation toolを提供するという意味ではありません。
| 機能 | 公式ヘルプの対応エディション |
|---|---|
| Security investigation tool | Frontline Standard/Plus、Enterprise Standard/Plus、Education Standard/Plus、Enterprise Essentials Plus、Cloud Identity Premium |
| BigQuery Export | Frontline Standard/Plus、Enterprise Standard/Plus、Education Standard/Plus、Enterprise Essentials Plus |
書き出し先によっても条件が異なります。特にCloud Identity Premiumを含むSecurity investigation toolの一覧を、BigQuery Exportの条件へそのまま当てはめないでください。
Rapid ReleaseとScheduled Releaseの両方で、2026年9月3日から最大15日の段階的展開です。
2026年9月5日時点の案内は展開中であり、すべての対象組織への表示完了や、15日後の確実な表示を保証するものではありません。エンドユーザー向けの新しい設定はありません。
制限事項・注意点:データの保存地域は変わる?
監査ログには標準のWorkspaceリージョンルーティング方針が適用されますが、ノートブック、ソース、チャット履歴などの利用者データはグローバルに保存され、現時点ではデータリージョンに対応しません。
これは今回の公式発表にある注意事項です。Notebook本体の保存先を地域指定できるようになったわけではありません。利用を判断するときは、操作を追跡できるかと、資料・会話をどこへ保存するかをそれぞれ確認してください。
中小企業ではどんな運用から始める?
Kz Pointとしては、最初に管理コンソールで調査対象を絞り、必要な結果をSheetsやCSVへ残す運用を勧めます。担当者が兼務でも確認を続けやすいように、調べるきっかけと範囲を決めておく方法です。
- 外部共有への変更を見つけたら、変更前後の公開範囲と操作者を照合します。
- 想定外のソース追加があれば、資料のID・名前・種類・URLから対象を調べます。
- 問い合わせがあった期間・利用者・IPアドレスで絞り、関係する操作を確認します。
- 定期点検の結果をGoogle SheetsまたはCSVへ書き出し、前回の確認内容と比較します。
これらは記録された属性を使う運用例です。IPアドレスにVPNやプロキシの情報が入る場合もあります。値だけで利用者の物理的な所在地を断定しないようにします。
日々の件数を継続分析する必要が出てきた組織では、BigQuery連携が選択肢になります。資料が追加される経路も把握したい場合は、Workspace StudioからGemini Notebookへソースを追加する機能も確認できます。
まとめ
Gemini Notebookの監査ログにより、管理者は操作した利用者や共有範囲、参照資料をたどれます。まず自分が使える調査ツールと権限を確かめ、期間を絞った検索と書き出しから運用を始めるのが現実的です。
BigQuery連携を選ぶときは、対応エディションに加えて権限・課金・設定を確認します。監査ログとNotebook利用者データでは保存地域の扱いも異なるため、社内の利用基準には両方を記載しておきます。
参考リンク
- Google Workspace Updates:Gemini Notebook監査ログの公式発表
- Google Workspace管理者ヘルプ:Gemini Notebook log events
- Google Workspace管理者ヘルプ:Gemini NotebookログのBigQueryスキーマ
- Google Workspace管理者ヘルプ:BigQuery Exportの設定
本記事はKz classによる解説であり、Google公式の見解ではありません。