メインコンテンツへスキップ

Workspace Studioが他ユーザーとの協働に対応、管理者制御も追加

Workspace Studioのフローが他ユーザーと協働できるようになりました。最小権限のエージェントID、監査ログへのフロー情報、エージェントアクセス管理、外部共有時の承認、DLPが同時に追加されています。

シェア:

「Workspace Studioを社内に開放したい。でも、フローが勝手に社外へメールを送ったら困る」。そう考えて様子を見ていた管理者の方に、判断材料が増えました。

2026年8月17日、GoogleはWorkspace Studioに企業向けのセキュリティ制御を追加したと公式発表しました。フローが他の利用者と協働できるようになり、それを安全に開放するための仕組みが同時に届いた形です。

Workspace Studioのセキュリティを調べる管理者が本当に知りたいのは、機能一覧ではありません。開放していいのか、開放する前に何を締めるのか、その判断です。本記事はその順で整理します。

何が変わったのか

これまでのStudioはメールの下書きのように利用者の作業を助けるだけで、送信のような操作を自律的に実行できませんでした。今回、ガードレールを組み込んだ新しいステップが加わり、利用者をまたぐ協働のユースケースに対応します。

この説明が指しているのは、相手のいる操作です。Sheetsへの追記やDriveへの保存のように、自分の手元で完結する自動化はこれまでも組めました。

社外へメールを送る、共有ファイルに書き込む、グループにメッセージを投げる。こうした「相手のいる操作」がフローの中でできるようになるわけです。

だからこそ制御が同時に来ました。追加されたのは、エージェントID、エージェントアクセス管理、監査とオブザーバビリティ、管理者設定と人による確認、そしてランタイム保護です。以下では「設定しなくても効くもの」「管理者が設定するもの」「上位エディションが必要なもの」に分けて見ていきます。

設定しなくても効くもの

管理者が何もしなくても、新しく作られたフローには次の性質が備わります。

フローは利用者のIDで、最小権限で動く

フローは専用のサービスアカウントではなく、作成した利用者のIDで、必要最小限の権限だけを持って実行されます。所有者が持つ権限のすべてを引き継ぐわけではありません。実行時には一意で監査可能な識別子を伴うため、あとから「どのフローの操作か」をたどれます。

操作はフロー名義で表示される(ベータ)

フローが行った操作を、所有者のIDとして見せるか、フロー自身に帰属させるかを管理者が選べます。この設定はベータで、既定値はオンです。オンの場合はフロー名・所有者名・アイコンを含むフローのIDに帰属し、オフにすると所有者に帰属します。

注意したいのは限界です。帰属をオフにしても匿名になるわけではありません。メールヘッダーやページのHTMLソースから、フローが使われたことを推測できる場合があります。すべてのWorkspaceアプリが帰属設定に対応するわけではなく、非対応のアプリでは常に所有者へ帰属します。

監査ログにフローの文脈が乗る

Studio側では、フローの構成イベントと実行イベントが監査イベントとして記録されます。さらに、Driveでのファイル編集やGmailでの送信といった各サービスの監査イベントに、一意のフロー識別子と所有者情報が付きます。「誰が触ったか分からない変更」が減るということです。

ただし新規フロー限定

ここが最も誤解しやすい点です。最小権限のエージェントID、IDの帰属設定、監査ログへのフロー情報の付与、エージェントアクセス管理への表示は、いずれも新規に作成したフローだけが対象です。すでに動いている既存フローの対応は、公式発表では「将来提供」とだけ書かれています。時期は示されていません。

管理者が設定するもの

ここからは管理コンソールでの操作です。

エージェントアクセス管理が新設され、組織内のフロー一覧を確認できます。一覧に出ているフローをまとめて停止することも、個別フローの特定のOAuthスコープだけを止めることもできます。Driveへのアクセスだけ取り消す、といった使い方です。セキュリティ調査ツールの監査イベントからこのページへ直接移動できるため、インシデント調査の途中で対処まで一気に進めます。

ただし一覧に出てくるのは、ロールアウト後に新しく作られたフローです。既存フローの緊急停止手段としては当てにできません。

人による確認も入れられます。外部と情報を共有するステップの前に利用者の承認を求める設定は、Business StarterやBusiness Standardでも使えます。管理コンソールのWorkspace Studio設定にある「Approvals」から、機微なステップへの承認要求を有効にします。

このほか、次の3つを無効化できます。

  • 特定のステップ種別(使わせたくない操作をフローから消す)
  • Geminiのデータアクセス(AIステップに社内データを読ませない)
  • Webhook連携(外部サービスへの送信経路を断つ)

ステップとスターターを個別に許可・ブロックする制御は2026年5月から提供されています。そちらは Workspace Studioのステップとスターターを管理者が細かく制御可能に:ガバナンスと段階導入を両立 にまとめました。Studio自体がまだよく分からないという場合は、先に Google Workspace Studioが正式リリース:AIエージェントでWorkspaceの自動化が変わる を読むと全体像がつかめます。

上位エディションが必要なもの

データ損失防止(DLP)による実行時の保護は、対象エディションが本体と異なります。

DLPを使えるのはEnterprise StandardやEnterprise Plusなどの上位エディションで、Business各エディションは対象外です。中小企業でよく使われるBusiness Standardでは、ここまでに挙げた承認やステップ制限は使えても、DLPによる自動判定は使えません。

Studio向けのDLPは、ステップごとに参照元データ、利用者が入力した設定内容、出力の可視性を検査します。条件に当たれば、そのステップをブロックするか、利用者のレビューを求めるか、記録だけ残すかを選べます。

Gemini向けのDLPは適用範囲がさらに限られます。Gemini DLPが現時点で制限できるのはGoogle Driveのデータだけです。他のWorkspaceデータへの対応は今後とされています。

対象プランと提供状況

対象はBusiness Starter/Standard/Plus、Enterprise Starter/Standard/Plus、Education Fundamentals/Standard/Plusです。加えてGoogle AI Pro for EducationとGoogle AI Ultra for Businessでも利用できます。

DLPだけは別枠です。対象はFrontline Standard/Plus、Enterprise Standard/Plus、Education Fundamentals/Standard/Plus、Enterprise Essentials Plusです。Businessの各エディションは含まれていません。

ロールアウトは3系統に分かれています。管理者が先に設定できて、利用者向けの機能があとから見えてくる順番です。

対象 Rapid Release Scheduled Release
管理コンソール設定 2026年8月17日開始(最大3日) 2026年8月17日開始(最大3日)
利用者向け機能 2026年8月20日開始(最大3日) 2026年9月1日開始(最大15日)
ID帰属(ベータ) 2026年8月17日開始(7日間で段階的) 2026年8月24日開始(最大15日)

公式発表の表記は「days」です。稼働日ではなく暦日で数えます。

注意点

新規フロー限定という制約は、運用の順番を変えます。既存フローが多い組織ほど、監査ログやエージェントアクセス管理に出てこないフローが残ります。棚卸しの機会と考えて、重要なフローを作り直す判断もありえます。

ID帰属はベータです。仕様が変わる可能性を考えると、社内マニュアルに画面の見え方を書き込むのは早いかもしれません。管理者設定の反映には最大24時間かかる場合があります。

画面の日本語ラベルは公式発表からは分かりません。手元の管理コンソールで実物を確認してから、社内向けの手順書に落としてください。

まとめ

  • Studioのフローが他の利用者と協働する操作に対応した
  • 新規フローは利用者のIDのまま最小権限で動き、監査ログにフロー情報が付く
  • 管理者はフローの停止、OAuthスコープの制限、外部共有時の承認要求を設定できる
  • DLPによる実行時の保護は上位エディション限定で、Gemini DLPはDriveのみ
  • 管理コンソール設定は2026年8月17日から、利用者向け機能は2026年8月20日から順次

開放するかどうかを決める前に、まず管理コンソールで承認要求とステップ制限を確認しておくと安全です。

参考リンク

本記事はKz classによる解説であり、Google公式の見解ではありません。

シェア:

Google Workspaceアップデートの記事をもっと読む

新機能・変更点速報を追い、利用者や管理者が確認すべき影響を整理します。

カテゴリhubへ移動する