GmailからGoogle Chatへ直接共有。メールの話題をチャットで続ける新機能
GmailのメールをGoogle Chatに直接共有できる新機能が登場。メールの内容をベースにしたリアルタイムな議論がしやすくなります。2025年12月上旬から順次展開。
要約
GmailとGoogle Chatの間に新しい連携機能が追加されました。Gmailで受け取ったメールを、そのままGoogle Chatのダイレクトメッセージやスペースに共有できます。「あのメール見た?」とチャットで聞く必要がなくなり、メールの内容をベースにしたリアルタイムな議論がしやすくなります。2025年12月上旬から順次展開されます。
メールとチャット、どう使い分けていますか
仕事でGmailとGoogle Chatを両方使っている方は多いと思います。
正式な依頼や外部とのやり取りはメール。社内の相談やちょっとした確認はチャット。そんな使い分けが一般的ではないでしょうか。
ただ、この2つの間を行き来するのが意外と面倒だったりします。
「さっき転送したメールの件だけど」とチャットで話し始めても、相手がまだメールを見ていない。あるいは、メールで返信しようか迷っているうちに、結局チャットで相談することになる。
今回の新機能は、そんなメールとチャットの間の「ひと手間」を解消するものです。
何ができるようになるのか
Gmailのスレッド画面から、そのメールをGoogle Chatへ直接共有できるようになります。
共有先は、既存のダイレクトメッセージやスペースを選ぶこともできますし、新しく会話を始めることもできます。元のメール受信者全員に共有することも、一部のメンバーだけに絞ることも可能です。
共有されたメールは、Chat側からリンクで開くことができます。メールの内容を確認しながら、チャットで議論を進められるわけです。
ポイントは、元のメールとチャットの会話が双方向でリンクされること。どちらからでもコンテキストを辿れるので、「あの話どこでしてたっけ」という迷子状態を減らせます。
こんな場面で使えそう
実際どんなときに便利か、いくつかシーンを考えてみます。
お客様からの問い合わせを社内で相談
お客様からメールで問い合わせが来たとき、返信する前に同僚へ相談したいことがあります。
これまでは、メールを転送してから「この件どう思う?」とチャットで聞いていたかもしれません。あるいは、メールの内容をコピペしてチャットに貼り付けていたか。
新機能なら、該当のメールをChatへ共有するだけ。相談したい同僚だけを選べば、お客様を含む全員への転送を避けられます。
会議のあと、参加者で振り返り
会議後に議事録をメールで共有することがあると思います。
その議事録について「この決定事項、もう少し詳しく話したい」となったとき、メールで長々とやり取りするより、チャットでサクッと話す方が早いでしょう。
メールをChatに共有すれば、参加者全員が同じ文脈を持った状態で議論を始められます。
経営層からのアナウンスを部署内で共有
全社向けのアナウンスメールが来たとき、自分のチームに「うちはこう対応しよう」と伝えたいことがあります。
メールをチームのスペースに共有すれば、原文を見ながらチームで方針を決められます。
使い始めるには
管理者側での設定は特に必要ありません。組織でGmailとChatの両方が有効になっていれば、自動的に機能が表示されます。
ユーザー側も、GmailでChatが有効になっていれば使えます。
まずはデスクトップ版(ブラウザ)から。モバイルアプリでも近いうちに対応予定です。
展開スケジュール
- Rapid Releaseドメイン: 2025年12月2日から展開開始
- Scheduled Releaseドメイン: 2025年12月9日から展開開始
展開には1〜3日程度かかることがあります。
対象エディション
以下のGoogle Workspaceエディションで利用できます。
- Business Starter / Standard / Plus
- Enterprise Starter / Standard / Plus
- Frontline Starter / Standard / Plus
- Nonprofits
Education向けは今後数ヶ月で対応予定とのこと。
注意しておきたいこと
便利な機能ですが、いくつか気をつけておきたい点もあります。
共有すると相手にメールが転送される
Chatへ共有すると、メール自体も相手へ転送される形になります。
つまり、元のメールの情報がすべて相手から見える状態になります。機密情報や個人情報の有無を、共有前に確認しておく必要があります。
外部の人が含まれるメールの扱い
元のメールへ社外の人が含まれている場合、その人をChat共有へ含めるかどうかは慎重に判断した方がよさそうです。
社内のチャットスペースに外部の人を招待してしまうと、他の会話も見えてしまう可能性があります。
メールでの正式なやり取りとの使い分け
チャットでの議論は便利ですが、正式な記録として残したい内容は、最終的にメールで確定させる方がいい場合もあります。
「チャットで合意したつもりだったけど、記録が残っていなかった」とならないよう、使い分けは意識しておきたいところです。
SlackやTeamsとの比較
似たような機能は、SlackやMicrosoft Teamsにもあります。
Slackでは、メールをSlackチャンネルに転送する機能があります。Teamsも、Outlookとの連携でメールをチャットに共有できます。
Google Workspaceを使っている組織にとっては、GmailとChatがネイティブに連携することで、余計な設定やサードパーティ連携なしに使えるのがメリットでしょう。
個人的に思うこと
メールとチャット、どちらかに統一できればシンプルですが、実際にはそうもいきません。外部とのやり取りはメールが基本ですし、社内の素早いやり取りはチャットが向いています。
今回の機能は、その2つを無理に統合するのではなく、行き来をスムーズにするアプローチ。現実的な解決策だと思います。
ただ、便利になる分、情報の流れが複雑になる可能性もあります。「このメール、Chatで共有した?」「あの議論はメールだったっけ、Chatだったっけ」という混乱が起きないよう、チームでの運用ルールを決めておくといいかもしれません。