Drive Inventory Reportingが外部共有の可視化を強化
Google Driveのインベントリレポートに外部共有フィールドが追加され、グループ経由の間接共有やウェブ公開、サービスアカウントをBigQueryで見分けられます。有効化の手順と対象エディション、処理時間への影響を解説します。
「うちのドライブ、結局どのファイルが社外に見えているんだろう」。管理者から一番よく聞く不安です。
答えにくい理由ははっきりしています。直接共有した相手だけを数えても足りないからです。グループに社外の人が1人混ざっていれば、そのグループに共有したファイルは全部見えています。リンクを知っている全員に公開したファイルも同じです。
2026年8月17日付の公式発表で、Drive Inventory ReportingにこのあたりをまとめるBigQueryのフィールドが追加されました。
Drive Inventory Reportingとは
管理コンソールから、組織のGoogle Driveのファイル情報をBigQueryへ書き出す機能です。書き出されたデータをBigQueryで検索して、社内のファイルがどう置かれているかを調べます。
ここは誤解が多いところなので先に書いておきます。エクスポートされるのはファイルのメタデータであり、ファイルの中身ではありません。ファイル名、サイズ、付与されたラベル、共有先といった情報が対象です。
3つの経路をまとめて判定してくれる
今回の追加で扱いやすくなったのは、外部への露出が複数の経路から生まれる点です。
公式発表は、直接付与された権限、グループメンバーシップ経由のアクセス、公開リンクの3つを自動的にまとめて、はっきりした信号に変えると書いています。これまでは権限の一覧を自力でたどって、グループの中身まで展開する必要がありました。
さらに、人間のユーザーとサービスアカウント、ウェブに公開されたファイルを見分けられます。DLP(データ損失防止)のメタデータと突き合わせれば、リスクの高いデータから手を付ける判断もしやすくなります。
追加されたフィールド
公式の管理者ヘルプに、今回追加されたスキーマが載っています。
| フィールド | 意味 |
|---|---|
access.has_external_sharing |
外部のユーザーまたはサービスアカウントへ共有されているか。グループ経由の間接的なアクセスも含む |
access.has_external_sharing_excluding_service_accounts |
サービスアカウントを除いた外部共有先が1件以上あるか |
access.is_published_externally |
ウェブに公開されているか |
access.is_shared_with_everyone |
全員に共有されているか |
access.external_sharees.type |
外部共有先の種類。USER / GROUP / UNSPECIFIED |
access.external_sharees.email |
外部共有先のメールアドレス |
access.external_sharees.is_service_account |
その共有先がサービスアカウントかどうか |
access.external_sharees.access_blocked_by_policy_control |
DLPやTrust Rulesでアクセスがブロックされているか |
access.dlp_info.matching_dlp_rules |
一致したDLPルールの一覧 |
名前が似ている2つは意味が逆なので、読み間違えないよう注意してください。has_external_sharingはサービスアカウントを含み、has_external_sharing_excluding_service_accountsはサービスアカウントを除きます。
連携用のサービスアカウントを何本も使っている組織だと、前者だけを見るとほぼ全ファイルが「外部共有あり」になります。人が見ているファイルを探すなら後者です。
もう1つ、access_blocked_by_policy_control が True の共有先は、上の2つの判定から除外されます。ポリシーで実際にアクセスできない相手は数えない、という考え方です。
有効化の手順
この機能は既定でオフです。使うには管理コンソールで明示的に有効化します。
Drive inventory report settingsにある External sharing calculations というチェックボックスがそれにあたります。設定には Reports 管理者権限が必要です。私が公式ヘルプを読んだ範囲では、日本語UIでの表記は確認できなかったため、本記事では英語表記のまま記載します。
前提として、DriveインベントリレポートのBigQueryエクスポート自体が設定されている必要があります。まだの場合は、BigQueryのプロジェクトIDとデータセット、エクスポート頻度(週次または日次)を先に設定します。
対象プランと提供状況
対象エディションは次のとおりです。
- Enterprise Standard、Enterprise Plus
- Education Standard、Education Plus
- Frontline Plus
- Enterprise Essentials Plus
- Cloud Identity Premium
ここは正直に書きます。Business StandardやBusiness Plus、個人のGoogleアカウントは対象に含まれていません。中小企業でよく使われるプランは外れています。
提供状況は、Rapid ReleaseとScheduled Releaseのどちらも2026年8月14日開始の段階的な展開です。機能が見えるまで最大15日かかります。
注意点
大きなグループを持つ組織では、この計算がレポートの配信を遅らせる可能性があります。公式ヘルプは1,000メンバーを超えるグループを目安に挙げていて、レポートの鮮度を優先するなら設定をオフにすることも検討するよう書いています。入れ子になったグループが多い場合も同じです。
費用の話もあります。DriveインベントリレポートのBigQueryエクスポートには、Google Cloudプロジェクトの請求先設定が必須です。エクスポートとクエリと保管に、それぞれBigQueryの料金がかかります。
時間もかかります。公式ヘルプによれば、Driveインベントリレポートのエクスポート自体を有効化してから、最初のエクスポートがBigQueryに現れるまで1〜2週間です。その後は設定した頻度で更新されます。エクスポートされたデータの既定の有効期限は60日で、過ぎると削除されます。
なお、External sharing calculations のチェックを入れてから外部共有フィールドが実際に埋まるまでの所要時間は、公式には書かれていません。
そして、この機能は外部共有を自動的に解除する機能ではありません。あくまで現状を見えるようにするところまでです。
対象外のプランならどうするか
Business Standardなどを使っていて今回の機能が使えなくても、打てる手はあります。
管理コンソールの共有設定で、共有ドライブ単位や組織部門単位に外部共有の可否を絞るのが基本です。監査ログでも、誰がいつ外部へ共有したかは追えます。
共有そのものに期限を付ける方法もあります。共有ドライブのファイルとフォルダに共有の有効期限を設定可能に で書いたとおり、共有ダイアログから直接期限を設定できます。今回の機能が「外部共有を見つける」側だとすれば、こちらは「見つけた共有を自動的に切る」側です。
まとめ
Drive Inventory Reportingに、外部共有をまとめて判定するフィールドが増えました。直接権限、グループ経由、公開リンクの3つを追いかけなくてよくなります。
ただ、使えるのはEnterprise系とEducation系、Frontline Plusなどに限られます。BigQueryの費用と、エクスポートを有効化してから最初の出力が届くまでの1〜2週間も前提になります。
対象エディションを使っていて、外部共有の棚卸しに手間をかけている組織なら、設定を1つ入れるだけで景色が変わります。まずは管理コンソールで自社のプランを確認してみてください。
参考リンク
- Google Workspace Updates: Enhanced external sharing insights now available in Drive Inventory Reporting
- Google Workspace 管理者ヘルプ: Export your organization’s Drive inventory
- Google Workspace 管理者ヘルプ: Schema and example queries for Drive inventory exports in BigQuery
本記事はKz classによる解説であり、Google公式の見解ではありません。