Google Chatに1Password SaaS Managerアプリが登場
1Password SaaS Managerの承認・通知をGoogle Chatで処理する連携アプリが登場しました。できること、管理者のインストール手順、ドメイン全体の委任、利用者に必要なアカウント、対象と注意点を解説します。
入退社のたびにスペースとアカウントを手で回していませんか
従業員が入ってくるたびに、Google Chatのスペースへ招待し、業務で使うSaaSのアカウントを発行する。退職が決まればスペースから外し、アクセスを止める。人数の少ない会社ほど、この作業は総務や情シスに限らない「誰か」の手に乗っています。
2026年9月8日、GoogleはGoogle Workspace Marketplaceに新しいChatアプリ「1Password SaaS Manager」が加わったと発表しました。アクセスの付与・剥奪を回すワークフローの通知や承認を、Google Chatの中で受け取って処理するための連携です。
今回の変更とアプリの役割
アプリの役割は次の一文で定義できます。
1Password SaaS Manager Chatアプリは、1Password SaaS Managerのワークフローから届く通知・承認依頼・アクションをGoogle Chatのメッセージとして受け取り、その場で処理するための連携アプリです。
切り分けておきたい点があります。Google Chat自体に承認ワークフローの機能が追加されたわけではありません。ワークフローを定義して動かすのは1Password SaaS Manager側で、Google Chatは通知と操作の入口になります。
できること
公式発表が例として挙げているのは、従業員のアクセス付与・剥奪を自動化するワークフローです。入社や退職に伴うGoogle Chatスペースへのメンバー追加・削除を進める場面で、承認依頼がChatのメッセージとして届きます。
承認者はツールを切り替える必要がありません。Chatに届いたインタラクティブなメッセージから、承認や却下をその場で返します。
Google Chat向けのMarketplaceアプリには前例もあります。フィード購読のFeedsアプリについては Feedsアプリの記事 で扱っています。
使い始めるまでの設定
管理者がMarketplaceからインストールする
管理者は、Google管理コンソールの アプリ > Google Workspace Marketplace アプリ > アプリリスト から、利用者の代わりにこのアプリをインストールできます。手順の全体像はGoogleの公式ヘルプ「組織に Marketplace アプリをインストールする」に沿います。
利用者が自分で入れる場合は、Google Chatの アプリ > アプリを探す からこのアプリを検索します。
先にメッセージを送るにはドメイン全体の委任が要る
利用者がまだアプリとの会話を始めていなくても、1Password SaaS Managerの側からChatへメッセージを送れるようにする設定があります。
1Password公式ヘルプ が案内するのは、管理コンソールの セキュリティ > アクセスとデータ管理 > API の制御 > ドメイン全体の委任 でクライアントを追加する手順です。許可するOAuthスコープは https://www.googleapis.com/auth/chat.spaces.create です。
このスコープが許可するのはスペースの作成です。組織のChatメッセージを読み取る権限ではありません。クライアントIDの値は1Password公式ヘルプの最新の案内を確認してください。
使う側にもアカウントが必要
Google Workspace側でアプリを許可・インストールしただけでは使えず、利用者ごとに1Password SaaS Managerのアカウントが必要です。アプリをChatに入れることと、SaaS Managerの契約は別物です。
対象と提供状況
対象は、管理対象のGoogle Workspaceビジネス/組織アカウントです。個人のGoogleアカウントは対象外です。
提供状況は、Rapid Release/Scheduled Releaseともに2026年9月8日の発表時点で提供済みです。
Chatアプリは無料掲載、SaaS Manager本体は有料製品
Marketplaceの掲載ページでは、Chatアプリ自体は無料と表示されています。ただし1Password SaaS Manager本体は1Passwordの有料製品で、Google Workspaceの契約に含まれるものではありません。料金やプランの条件は1Password側の案内で確認します。
注意点
SaaS Managerを契約していない組織には関係がない
このアプリは1Password SaaS Managerの連携入口です。SaaS Managerを契約していない組織では、Chatに入れても動かすワークフローがありません。
許可リストの運用を確認する
Marketplaceアプリを許可リストで管理している組織では、利用者がアプリを見つけても自分ではインストールできません。使うかどうかは管理者側の判断に委ねられます。
ドメイン全体の委任は最小限のスコープに
ドメイン全体の委任は組織全体に影響する設定です。今回案内されているスコープは chat.spaces.create のみなので、これ以外のスコープを求められた場合は立ち止まって確認してください。
1Password側の案内は更新途中の可能性がある
2026年9月9日時点で、1Password公式ヘルプの記載には未整備の箇所が残っています。クライアントIDをはじめとする具体的な値は、設定のたびに最新の案内を確認するのが確実です。
中小企業での使い方の例
退職者の処理を例にします。SaaS Managerのワークフローが退職者のアクセス剥奪とChatスペースからの削除を進め、承認が必要な段階で担当者のChatにメッセージが届きます。担当者はメッセージの上で承認を返すだけです。
新入社員でも同じ形です。人事担当の承認を経て、必要なスペースへの追加までワークフローが進みます。
Google Workspaceだけで同じことをするなら、管理コンソールやGoogleグループでの手作業になります。どちらが合うかは、SaaSの管理をどこに置いているかで変わります。
まとめ
- 1Password SaaS Managerの通知・承認をGoogle Chatで処理する連携アプリがMarketplaceに追加された
- 管理者は管理コンソールから利用者の代わりにインストールでき、利用者はChatから探せる
- 会話開始前にメッセージを送るにはドメイン全体の委任が必要で、許可するスコープはスペース作成に限定される
- 利用者ごとに1Password SaaS Managerのアカウントが必要で、対象は管理対象アカウントのみ
- Rapid Release/Scheduled Releaseともに発表時点で提供済み
SaaSの利用管理に1Password SaaS Managerを入れている組織は、管理コンソールのアプリリストから設定を確認してみてください。パスワードマネージャーを含む基本のセキュリティ設定は Google Workspaceセキュリティ設定:2段階認証から管理まで にまとめています。
参考リンク:
本記事はKz classによる解説であり、Google公式の見解ではありません。