Apps Scriptがデータリージョンに対応、正式提供開始
Google Apps Scriptがデータレジデンシー要件に対応し正式提供されました。対象はEnterprise Plus・Education Standard/Plus・Frontline Plusで、設定は管理者のみが行います。
要約
Google Apps Scriptが、データリージョン(データレジデンシー)に対応し、一般提供(GA)が始まりました。データリージョンポリシーを適用した組織部門やグループでは、Apps Scriptのデータ保存とスクリプトの実行処理が、管理者が指定した地理的リージョンの範囲に収まります。
- 設定は管理者のみが行い、一般利用者向けの設定項目はありません
- 対象はEnterprise Plus・Education Standard/Plus・Frontline Plusです
- Rapid Release・Scheduled Releaseの両ドメインで、提供開始済みです(公式発表は2026年9月16日)
データリージョンとは
データリージョンは、内部のコンプライアンス・法規制・データ主権上の義務を満たすために、対象データの保存場所と処理場所を地理的に制御する仕組みです。Google Workspaceでは、Admin Consoleで組織部門やグループごとに保存先のリージョンを指定できます。
今回この制御がApps Scriptにも広がったことで、規制の厳しい業種や公共部門の組織でも、スクリプトのデータと実行が指定した地理的境界の内側にとどまることを前提に、業務ワークフローの構築・展開・自動化を進められます。
今回の対応範囲
データリージョンポリシーが組織部門やグループに適用されると、Apps Scriptのデータ保存とランタイム実行が指定したリージョンに従うようになります。
保存と処理で、対象は次のように分かれています。
保存(データ at rest)の対象
- スクリプトプロジェクトファイル
- コード定義
- マニフェスト設定
- トリガーメタデータ
- キーバリューストレージ(Property ServiceやCache Serviceなど)
処理の対象
- スクリプトの実行
- コンテナバインドの自動化
- 関連するランタイム操作
なお、カスタムのCloud Loggingや外部サービスを組み合わせているスクリプトについては、公式発表で開発者向けにApps ScriptのCloud Projectsガイドの推奨事項を確認するよう案内されています。
非地域化サービスの無効化に注意
Apps Scriptがリージョン化されたデータレジデンシーのモデルへ移行するにあたり、注意したい点が1つあります。Admin Consoleのデータリージョン詳細設定で「Drive and Docsの無効化トグル」を有効にした組織では、2026年9月から非地域化Apps Scriptサービスが無効化されます。
このトグルを有効にしていない組織には、この無効化は及びません。すでにトグルを有効にしている組織の管理者は、Apps Scriptを使う業務が止まらないか、9月中に確認しておくと安心です。
管理者の設定方法
Apps ScriptはAdmin Consoleの「データ>コンプライアンス>データリージョン」に設定済みの組織のデータ所在地ポリシーへ自動的に従います。すでにデータリージョンを設定している組織では、Apps Script用に新しく設定を追加する必要はありません。
リージョン外で処理を行う機能の許可・無効化といった詳細な制御は、データ>コンプライアンス>データリージョン>詳細設定 から行います。
一般利用者への影響
一般利用者向けの設定項目はなく、スクリプトプロジェクトの作成・実行は管理者が割り当てたデータリージョンポリシーに自動的に従います。利用者側で何かを選んだり、切り替えたりする操作は発生しません。
対象エディション
対象はEnterprise Plus(保存・処理の両方がリージョン内)、Education StandardとEducation Plus(保存のみリージョン内)、Frontline Plus(保存・処理の両方がリージョン内)です。
| 区分 | エディション | リージョン内での保存 | リージョン内での処理 |
|---|---|---|---|
| Enterprise | Enterprise Plus | 対象 | 対象 |
| Education | Education Standard・Education Plus | 対象 | 対象外 |
| その他 | Frontline Plus | 対象 | 対象 |
Educationの2エディションは保存のみが対象で、スクリプトの実行処理までは含まれない点に気をつけてください。Business系のエディションや無償版は、今回の対象に含まれていません。また、Education系のエディションは、利用資格を満たす教育機関向けのものです。一般企業が選べるエディションではありません。
ロールアウト状況
Rapid ReleaseドメインとScheduled Releaseドメインの両方で、「提供開始済み(Available now)」となっています。公式発表は2026年9月16日で、段階的な追加展開の日程は示されていません。
中小企業にとっての位置づけ
対象エディションがEnterprise Plus・Education Standard/Plus・Frontline Plusに限られるため、Business系エディションを使う多くの中小企業には、現時点で直接関係しません。「自社の設定を変えなければいけない」という種類のアップデートではありません。
一方で、次のような組織にとっては意味のある変更です。
- 規制業種や自治体など、データの保存場所・処理場所に関する要件がある組織
- 取引先や監督官庁から、データの保存場所・処理場所の説明を求められる組織
- Apps Scriptによる業務自動化を、コンプライアンス上の理由で見送ってきた組織
Apps Scriptについては、2026年6月にApps Scriptが正式コアサービスに昇格した件でも、データ保護や管理者コントロールが強化されています。今回のデータリージョン対応は、その流れを、データの所在地という具体的な要件へ広げたものと位置づけられます。
エディションのアップグレードを検討する際は、次の点を判断材料にするとよいでしょう。なお、選択できるリージョンは公式ヘルプで確認してください。本記事では公式発表にない具体的なリージョンには触れていないため、たとえば日本国内への保存が可能かどうかは、導入前に必ず確認が必要です。
- 自社に、データ所在地に関する法令や契約上の要件があるか
- 要件の対象地域が、Admin Consoleで選択できるリージョンに含まれているか
- その要件が、データの保存だけか、処理(実行)まで含むか
- 処理まで必要な場合は、Enterprise PlusやFrontline Plusが候補になるか
まとめ
Apps Scriptのデータリージョン対応は、スクリプトのデータ保存と実行処理を指定リージョンに収める、管理者向けのコンプライアンス機能です。設定は管理者のみが行い、一般利用者の操作は不要です。
- 保存の対象はスクリプトプロジェクトやトリガーメタデータなど、処理の対象はスクリプト実行など
- 「Drive and Docsの無効化トグル」を有効にした組織は、2026年9月から非地域化Apps Scriptサービスが無効化される
- 対象はEnterprise Plus・Education Standard/Plus・Frontline Plusで、Educationは保存のみ
- 両ドメインで提供開始済み
出典: Google Workspace Updates 公式発表
参考リンク
- 公式発表: Data regions support for Google Apps Script now generally available(Google Workspace Updates)
- Select geographic locations for data residency
- Data covered by region policies
- Configure advanced regional settings
- Overview of Assured Controls add-ons
- Apps Script overview and guides
本記事はKz classによる解説であり、Google公式の見解ではありません。